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大竹哲郎【第4回】人材育成の体系化について – 教育相談室 企業教育担当者奮闘記
【コラムジャンル】
OJT , 人材育成 , 人材育成体系化 , 企業 , 体系化 , 大竹哲郎 , 奮闘記 , 担当者 , 教育 , 相談室 , 第4回 , 連載 , 選択型研修 , 階層別研修
2015年01月16日
人材育成の体系化について
若手教育担当者のお悩み「人材育成の体系化について」に、ベテラン人事教育担当者の株式会社F&Lアソシエイツ 代表取締役/コンサルタント 大竹哲郎氏がズバッと答えます!
<解説者>
株式会社F&Lアソシエイツ 代表取締役/コンサルタント
大竹 哲郎(おおたけてつろう)
1967年生まれ。1991年、北海道大学経済学部卒業。石川島播磨重工業株式会社(株式会社IHI)に入社し、23年間にわたり人事関係業務に従事する。人事制度企画、採用、教育、評価などのほか、事業統合・事業所移転に伴う組織融和を多数経験。2014年7月に独立し、株式会社F&Lアソシエイツを設立。
Q4:上司から、人材育成の体系化について自分の考えをまとめるようにとの課題を与えられました。どうしたらいいでしょうか?
A:こらこら持部さん、自分の考えを求められているのだから、私に訊いてしまってはダメでしょう(笑)でもまあ、考えをまとめるためのヒントだけお話ししましょう。
まずは、人材育成の目標というか、目指すべきゴールをイメージしましょう。自社の置かれている状況や経営戦略・経営目標と照らして、それを達成するためにどのような人材が必要とされているのか、現状では何が足りなくて、どのような人材をいつまでに何人くらい育成する必要があるのか、大まかな目安を作ることが大切でしょう。
これはもちろん、人事部門だけではできないので、事業部門のマネージャーや経営層との話し合いも必要になると思います。
それから、人材育成の大きな枠組みを構築しましょう。
一口に人材育成と言っても、単なる教育研修だけでは不十分です。人材の配置、日常業務の遂行、評価とフィードバック、配置転換やローテーション、育成計画や自己成長計画、自己申告制度や社内FA(フリー・エージェント)制度など、いろいろな制度や施策の組み合わせで多面的・中長期的な仕組みを作ることが「体系化」だと思います。
さて、よく言われることですが、教育にはOJT(On the Job Training)とOFF‐JT(Off the Job Training)があります。最近ではこれに加えて、アクション・ラーニング(Action Learning)という手法も注目されています。
OJTを効果的に進めるには、指導体制を明確にすることと、上司や指導役の社員が育成のPDCAサイクルを確実に回すことができる仕組みを構築することが必要です。
OJTのPDCAサイクルを確実に回すためには
・付与する業務を明確にする
・育成目標を明確にし、具体的な育成計画を立てる
・一定期間ごとに進捗と状況を確認したうえで次のサイクルにつなげていく
これらを習慣化させることで、育成の効果を高めることができます。
OFF‐JTは、狙いと対象者選定方法を明確にする必要があります。研修の目的が知識の習得、スキルの向上、態様の改変のいずれなのかによって、カリキュラムの組み方が変わるでしょう。対象者については、階層別(入社〇年目というように全員一律で受講させる)、選抜型(マネジメントサイドで対象者を選抜して指名して受講させる)、選択型(受講者および指導者が、数あるカリキュラムの中から選んで受講する)など、研修の目的と内容によってさまざまなパターンが必要となります。
Action Learningは、OFF‐JTで学んだ知識やスキルを実際の業務に適用して、それを振り返ったり共有したりすることで定着性を高めるという方法です。
これらのことを、自社の置かれている状況に応じてアレンジし、自社にふさわしい教育体系を構築してください。
(※本記事は、2013年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)
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